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合成ゴムの種類と特徴

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合成ゴムの種類と特徴

SBR(スチレンブタジエンゴム) 大部分のSBRはブタジエンとスチレンを乳化重合した共重合体である。通常結合スチレン量が23.5%である。結合スチレン量が50%以上のものを一般にハイスチレンゴム又はハイスチレンレジンと呼ぶ。特長は品質が均一で異物が少ない。耐熱性、耐老化性、耐摩耗性が優れている。
BR(ブタジエンゴム) BRは、フナタジエン、チーグラー触媒をはじめ有機金属化合物を触媒として、炭化水素溶媒中で溶液重合したものである。BRの特長は耐摩耗性が優れている。反発弾性が高い。動的発熱が小さい。低温特性が優れている。油や充てん剤との親和性がよい。押出成形がよく、型流れもよい。
CR(クロロプレンゴム) CRは、クロロプレンを乳化重合して製造される。CRには硫黄変性タイプ、非硫黄変性タイプ、及び高結晶化タイプの3種がある。CRの特長は、耐熱性、耐老化性、耐オゾン性、耐候性、耐燃性が優れており、また酸化性薬品を除く薬品類に対する抵抗があり、更にそののりは接着カが極めて大きい。
IR(イソプレンゴム) IRは、イソプレンをチーグラー触媒やリチウム触媒などにより重合したもので、大部分がシスー1,4構造から成り、赤外吸収によると天然ゴムとその構造が極めてよく似ている。その特長は品質が均一で、ゲル分が少なくごみなどの異物がなく、素練りが容易で、型流れがよく、吸水性や電気特性がNRより優れており、透明で色調が明るく着色性がよく、においも少なく、冬期の保温が不要などである。
IIR(イソプチレン・イソプレンゴム
又はプチルゴム)
IIRはイソプチレン(イソブテンともいう)に少量のイソプレンを加えた混合液を触媒や反応調整剤を入れ一100℃くらいに冷却した反応槽を通して連続的に生産された合成ゴムである。 IIRは次のような特長を持っている。各種の気体の透過性が極めて小さいこと。NRに対する水素の透過性を100としたときのIIRの透過性はわずかに1.5となっている。そのほか熱、日光、オゾンに対する抵抗が大きく、電気絶縁性と耐コロナ性に優れ、普通の酸、アルカリに対しNR,SBRより優れ、動植物系油脂に抵抗が大きく、衝撃吸収性が大きく、一50℃以下でも柔軟性を持っている。
EPM,EPDM
(エチレンプロピレンゴム)
EPMはエチレンとプロピレンとの共重合体である。これは主鎖に二重結合を含まない合成ゴムである。したがって、この合成ゴムは硫黄加硫ができない。この欠点を除くために少量の第三成分を導入して、主鎖中に二重結合を持たせたものが、EPDMである。第三成分の種類及び量の違いによっていろいろの合成ゴムが市販されている。  EPM及びEPDMの特長は次のとおりである。耐オゾン性がCR,IIRより優れており耐候性もよく、耐熱性も優秀であり、低温においても優れた動的特性を持ち、脆化温度が低く、-55℃でも屈曲性があり、電気特性がよく、耐コロナ、耐トラッキング性はIIRよつ優れており、アルコール、ケトン、デリコールのような極性溶剤や塩酸、苛性ソーダなどに耐え、耐水、耐蒸気性もある。
NBR(アクリロニトリルブタジエンゴム
又はニトリルゴム)
NBRは、アクリロニトリルとブタジエンとを乳化共重合して得られる。結合アクリロニトリル量15~50%のものが作られているが、43%以上のものを極高ニトリル、36~42%のものを高ニトリル、31~35%のものを中高ニトリル、25~30%のものを中ニトリル、24%以下のものを低ニトリルというように分類して呼んでいる。結合アクリルニトリル量の増加とともに耐油性、耐摩耗性、機械的強度が向上するが、耐寒性、伸び、弾性は低下する。
シリコーンゴム(Q) 一般のゴムが炭素一炭素結合を主鎖に持った化合物であるのに対し、シリコーンゴムの主鎖は珪素一酸素結合(シロキサン結合)からなっている。  この合成ゴムは、次のような特長を持っている。-60~250℃の広い温度範囲で物性の変化が極めて小さく、低温でも弾性を失わず、耐オゾン性、耐候性が優れ、かなりの耐油性があり、広い温度観囲、周波数範囲で電気的性質の変化が小さく、非粘着性で無味無臭である。
ふっ素ゴム(FKM) 分子内にフッ素を含む合成ゴムの総称で、ふっ素の量や単量体の構造により種々のタイプがあり、その性質も異なっている。市販反品の多くは、ふっ化ビニリデンとバーフルオロプロペンとの共重合体(四フッ化エチレンをターボリマーとするものを含む) である。  この合成ゴムの特長は、耐薬品性(発煙硫酸、硝酸、クロム酸にもかなりの抵抗がある)が特に優れており、ほとんどの油、溶剤(ケトン、エステル類を除く)によく耐え、耐候性、耐オゾン性が抜群であり、耐熱性はシリコーンゴムより優れ、使用限界温度は約250℃で、電気絶縁性も良好である。
アクリルゴム(ACM,ANM) アクリルゴムは、アクリル酸アルキルエステルを主成分とする非結晶性の弾性体である。塩素含有の有無によって2種類に大別される。アクリル酸アルキルエステルと2-クロロエチルビニルエーテルの共重合体をACMといい、アクリル酸アルキルエステノルとアクリロニトリルとの共重合体をANMと呼んでいる。130℃程度で連続使用が可能であり、耐熱性はフッ素ゴム、シリコーンゴムに次いで優れ、耐候性、耐オゾン性がよいが、弾性に乏しく、物性がよくなく、耐水性、耐寒性が悪い。
ウレタンゴム(AU,EU) ポリエステル又はポリエーテルとイソシアナートとの反応により得られるゴム状弾性体を総称してウレタンゴムという。大別してポリエステル系(AU)とポリエーテル系(EU)に分類される。高硬度と高弾性があり、耐摩耗性や機械的性質が非常に優れている。耐水性があまりよくなく、耐湿性、耐熱性も悪い。
多硫化ゴム(T) 両端にハロゲン基を持つ有機化合物(アルキルジハライド)と多硫化アルカリとの縮合により得られる合成ゴムで、耐油性が極めて優れ、各種溶剤に対する抵抗も他の合成ゴムよりかなり優れている、耐候性、耐オゾン性が優れ、ガス透過性が小さいという長所を持っているが、加工性、物性が悪く、耐熱、耐寒性が悪いという短所を持っている。
塩素化ブチルゴム ブチルゴムのへキサン溶液に塩素ガスを通して作られる。この合成ゴムはブチルゴム本来の性質を保有しつつ他のジエン系ゴムと共加硫酸を改善し、他のゴムとの接着性、耐熱性、耐圧縮性、動的性質などを良好にする。
エビクロルヒドリンゴム
(CO,ECO)
主鎖にはエーテル結合を、側鎖にはクロルメチル基を持った独特の化学構造の合成ゴムである。これに属する合成ゴムには2種類あり、一つはエビクロルヒドリンのホモポリマー(CO)で、他はエビクロルヒドリンとエチレンオキシドとの共重合体(ECO)である。  この合成ゴムの特長は、高ニトリルゴムに匹敵する耐油性を持ち、耐熱性はアクリルゴムとニトリルゴムとの中間くらいで、耐オゾン性はEPMに匹敵している。低温特性と反発弾性の悪いことが欠点である。